世界で最も多くネガティブカーボンフットプリントを達成した人物に100万ユーロのMillennium Technology Prizeを授与
ヘルシンキ、9月4日: 2024年のMillennium Technology Prizeは、世界における電気エネルギーとガソリンの消費量の劇的な削減を可能にした技術革新により、米国ノースカロライナ州立大学のBantval Jayant Baliga教授に授与されました。
賞金100万ユーロのこの国際的な技術賞では、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)の発明、開発、および商用化におけるBaligaのリーダーシップが評価されました。1980年代に開発が始まって以来、IGBTは過去40年の間、電気エネルギーの使用とガソリン消費を効率化および低公害化するための最も重要な半導体デバイスでした。IGBTによって達成された化石燃料の消費の効率向上とコストの削減は、電力産業に革命をもたらしました。この技術により、世界の二酸化炭素排出量は、過去30年間で82ギガトン(180兆ポンド)以上削減されました。これは、過去30間の平均に基づくと、すべての人間活動による二酸化炭素排出を3年間停止した状況に相当します。
Baliga教授による技術革新は、再生可能エネルギーの電化と利用を効率化して収益性の高いものにすることにより、世界的なグリーン移行と地球温暖化の軽減を可能にします。すべての風力発電や太陽光発電の設備にIGBTベースの技術を活用し、発電した電力は民生用および産業用アプリケーションに適した形に変換されます。IGBTは、電気自動車やハイブリッド電気自動車だけでなく、その他多くの民生用および産業用電気モーターに不可欠な技術です。
病院ではX線装置、CATスキャナー、MRI装置などの医療診断機器、台所では電子レンジやIHコンロ、住宅やビルではエアコンや冷蔵庫など、IGBT技術は世界中で私たちの身の回りのどこにでも存在し、エネルギー消費を削減して電気使用に高い信頼性をもたらしていますが、IGBTによって実現された携帯型除細動器においては、現在、毎年数え切れないほどの命を世界中で救っています。最新IGBTの性能・容量は、現在のIGBTベースの電力コンバーターおよびインバーターが、1kWから10MWのの電力定格を持つほぼすべての主要アプリケーションにおいて優勢な位置を占めるまでに拡大しました。
今月初めに特別栄誉教授の称号を授与されたBantval Jayant Baliga教授は、次のように述べています:
「この偉大な称号に選ばれたことを大変光栄に思っています。IGBTは社会の目から隠されている埋め込み技術であるため、Millennium Technology Prizeが私の技術革新に注目を集めてくれることを特に嬉しく思います。この技術革新は、世界中で何十億もの人の快適性、利便性、健康を向上させ、さらに地球温暖化を軽減するために二酸化炭素排出を削減する膨大な数の製品を実現してきました。この衝撃的な技術革新を世間一般の人々に知らせることは、現代科学技術による人類の向上を示すことになります。」
Forbes誌は、2016年に発明家の殿堂入りを果たしたBaliga教授を、世界で最も多くネガティブカーボンフットプリントを達成した人物として評価しました。
Baliga氏と彼のチームは、太陽光発電、電気自動車、AIサーバーの電力供給の分野でさらに効率性を向上させるため、現在、2つの新しい発明に取り組んでいます。
Baliga氏は次のように述べています:「私の最近の1つ目の発明であるBaliga短絡改善コンセプト(BaSIC)は、産業用および電気自動車のアプリケーション用のモーター駆動に使用されるシリコンカーバイドパワーMOSFETに生じる、短絡耐量が低下する障害を解消するように設計されています。私の最近の2つ目の発明である双方向電界効果トランジスタ(BiDFET)は、パワーエレクトロニクスアプリケーション用のマトリックスコンバータを実現します。マトリックスコンバータは、既存の電源インバータと比較して、サイズ、効率性、信頼性においてかつてない改善をもたらします。パワーエレクトロニクスの専門家によると、この発明が電力供給と管理に革新的な影響をもたらすことが示されています。」
Technology Academy Finland(この賞を授与する財団)の理事長であるMinna Palmroth教授は、次のように述べています:「IGBTはすでに、そして今後も継続して、環境影響を軽減しながら世界中の生活水準を向上させる持続可能性を支えるうえで、大きな影響を与えています。地球温暖化の問題に取り組むための主な解決策は、再生可能エネルギーの電化と移行です。IGBTは、これらの問題に対処するための重要な実現技術です。」
「この賞により、極めて重要で大きな影響力を持ちながらも多くの人々に知られていない技術革新に光が当てられることを、私は特に嬉しく思います。これは、科学と技術革新の力を強調するための素晴らしい方法であると私は考えます。」
Millennium Technology Prizeの国際選考委員会委員長のPäivi Törmä教授は、次のように述べています:「世界の電力の3分の2は、民生用および産業用アプリケーションのモーターを動かすために使用されています。Baliga教授の技術革新により、エネルギー消費を劇的に削減しながら、電力を効率的に使用する社会を発展させることが可能になりました。」
「パワーエレクトロニクスは、プロセスやエネルギーシステムの自動化がますます大きな役割を果たす現代社会において、重要な実現技術です。過去40年の間、そして現在においても、IGBTは最も重要なパワー半導体デバイスです。」
10月30日にフィンランドで開催されるMillennium Technology Prizeの授賞式では、Bantval Jayant Baliga教授への授与、および同賞の創設20周年記念式典も同時に行われます。Millennium Technology Prizeは、賞の後援者であるフィンランドの大統領によって授与されます。授賞式は、フィンランド国営放送株式会社のYleによって全世界に配信されます。
Millennium Technology Prizeについて:
賞金100万ユーロのMillennium Technology Prizeは、より良い生活を目指した技術革新に焦点を当てた傑出した賞です。これには、人間の幸福、生物の多様性、より広範な持続可能性を向上する取り組みも含まれます。2004年に初めて授与が行われた同賞は、Technology Academy Finlandによって監督されており、その後援者はフィンランドの大統領です。受賞者は、学術機関や企業の専門家からなる著名な国際的パネルによって選出されます。技術革新は、厳格な学術的および科学的研究によって裏付けされなければならず、持続可能な開発および生物多様性の促進、商業的な実現可能性を持つアプリケーションの創出、アクセス可能な社会経済的価値の創出など、いくつかの基準を満たす必要があります。
過去に受賞した技術革新は、COVID-19ワクチンの開発に貢献したDNAシーケンシングから、倫理的な幹細胞研究、多用途で手頃に使用できるスマートテクノロジーまで多岐に及びます詳細情報については、https://millenniumprize.org/にアクセスしてください.。
冬の写真:https://drive.google.com/drive/u/2/folders/1fA477l-rstdCdL7Gn5X3nknWaAlwN4Uy
受賞者の技術革新のビデオ:https://youtu.be/fPrhSXCRRQM
詳細情報とインタビューの依頼:
Ida Rantala、コミュニケーションマネージャー
ida.rantala@millenniumprize.org
+358 50 3230 955